Special Edition


「少しだけだから………」

「ッ?!//////」


ビクッと身体を震わす彼女の左肩に

空いてる方の手を滑らせた。


そして、ゆっくりとドレスの布地を捲るように……。


すると、鎖骨の端部分、肩の内側に傷痕はあった。

およそ10㎝程の手術痕。

四方から縫合されているような、かなり深い傷。


彼女はギュッと目を閉じ、呼吸も止めている。


きっと俺の指先の感触を感じて、

『早く終って』と念じているに違いない。


必死に耐えている彼女が堪らなく愛しくて……。


「ッ?!///////」


俺は傷痕に唇を這わせた。


痛みは無いというが、今でも十分に痛みがあるじゃないか。

………心の痛みが。


こうして、人目に触れないように無意識に隠し

そして、何も無い素振りを無理にしている。


そんな彼女が俺の心を溶かしてゆく。



ゆっくりと這わせた唇を離すと、

真っ赤な顔をした彼女と視線が絡む。


「十分いいものを見せて貰った、ありがとうな」


恥かしそうに唇を真一文字に結んだ彼女。


俺は想いの丈を伝えようと

俺の顔を見上げる彼女の唇に

…………ゆっくりと唇を重ねた。



~FIN~


< 279 / 477 >

この作品をシェア

pagetop