Special Edition
彼女がゆっくり味わうように口にしている間に、俺は浮気相手の奴を掴む。
そして、スッと膝の上から大事なコイツを取られた彼女が、漸く俺の瞳を一瞬捕らえた。
「暫く逢えなくなるのに、俺よりコイツが大事?」
「…………べ、別に、そんなんじゃ……」
「でも、さっきから俺の方を1回も見てないじゃん」
「えっ?………そんなつもりはないんだけど……」
シュンと肩を落とす彼女だが、やはり視線は俺の手の中のコイツに釘付けだ。
俺の手元に視線をロックし、俺がどうこうするのではないかと心配そうに見つめている。
はぁ……、本当に困った人だ。
「俺がいない間、ご飯とかちゃんと1人で食べられる?」
「だ、大丈夫だよ、それくらい……」
「ホント?今朝だって俺が無理やり食べさせたようなもんじゃん。本当に大丈夫?」
「う、うん」
「俺、マジで心配なんだけど」
寿々さんは本当にコイツに夢中で、放っておいたら食事も摂らないままボーっと眺めている。
さすがにこれはマズイと思うんだよなぁ。
元々華奢な身体なのにこれ以上痩せたら、倒れんじゃないかと心配だよ。