Special Edition


「もうすぐご飯の用意が出来るから座っててね~?」


彼女がカウンター越しに声を掛けて来た。

ダイニングに着くと、テーブルの上には

俺の好物ばかりが並んでいる。


俺はキッチンにいる彼女のもとへ。


真剣にもみじおろしを作っている彼女。

大根に鷹の爪を突き刺し、

それを必死に摩り下ろす姿は既に新妻。


淡いピンク色のエプロン姿は何1つ変ってない。


俺は引き寄せられるように彼女の背後へ。


「……葵」

「っ……」


摩り下ろす手が怪我をしないように配慮しつつ

彼女の身体を背後から抱きしめる。


「じ、潤くん、もう少しで出来るから////」

「もう出来上がってると思うけど?」

「へっ?」


顏だけ俺の方に軽く振り向いた彼女は小首を傾げて俺を見上げた。

そんな彼女の身体をクルリと反転させ、

反対側のキッチン台の上に彼女をひょいっと座らせる。

そして、彼女の両側に両手を着いて真っ直ぐ見つめると、

ますます顔に赤みが増してゆく。


もみじおろしよりも真っ赤に……。


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