Special Edition
志帆ちゃんと皆川さんも、去年の9月に結婚式を挙げた。
挙式は、皆川さんのたっての希望で神前式にて厳かに挙げ、披露宴は有名レストランを貸し切って行われた。
皆川さんは、高校時代はラグビー部、大学時代はアメフト部に所属していた事もあり、招待されたご友人方は殆どが大柄な人ばかりで圧倒された。
そんな彼が余興の1つで見せてくれたのが、披露宴入場パフォーマンス。
華奢な志帆ちゃんを肩に担いでの登場には、会場も一気に盛り上がって……。
だからこそなのかもしれない。
大和が『もう一度、結婚式を挙げたい』と言い出したのは……。
結婚式って家を買うのと同じで、一生に一度だと思うからこそ、想い入れも深い。
そんな風に、大事に想われている事に幸せを感じずにはいられないよね。
そよ風を肌で感じようと助手席の窓を少し開けると、
「暑いのか?」
ハンドルを握る彼から声が掛かる。
「え?……ううん、暑くないよ」
風で靡く髪を手で押さえながら彼に返答すると、
「ッ?!…………」
すぐさま窓が閉められた。
スローモーションのように彼へ視線を向けると、
「走行中の風は思いのほか冷たいから、身体に毒だ」
「…………」
ここまで来ると、返す言葉も無いわよね。