Special Edition


志帆ちゃんと皆川さんも、去年の9月に結婚式を挙げた。

挙式は、皆川さんのたっての希望で神前式にて厳かに挙げ、披露宴は有名レストランを貸し切って行われた。

皆川さんは、高校時代はラグビー部、大学時代はアメフト部に所属していた事もあり、招待されたご友人方は殆どが大柄な人ばかりで圧倒された。

そんな彼が余興の1つで見せてくれたのが、披露宴入場パフォーマンス。

華奢な志帆ちゃんを肩に担いでの登場には、会場も一気に盛り上がって……。


だからこそなのかもしれない。

大和が『もう一度、結婚式を挙げたい』と言い出したのは……。


結婚式って家を買うのと同じで、一生に一度だと思うからこそ、想い入れも深い。

そんな風に、大事に想われている事に幸せを感じずにはいられないよね。




そよ風を肌で感じようと助手席の窓を少し開けると、


「暑いのか?」


ハンドルを握る彼から声が掛かる。


「え?……ううん、暑くないよ」


風で靡く髪を手で押さえながら彼に返答すると、


「ッ?!…………」


すぐさま窓が閉められた。

スローモーションのように彼へ視線を向けると、


「走行中の風は思いのほか冷たいから、身体に毒だ」

「…………」


ここまで来ると、返す言葉も無いわよね。


< 384 / 477 >

この作品をシェア

pagetop