Special Edition

乗船場に到着した私たちをスタッフが出迎えてくれた。
郁さんはスタッフと何やら話し込んでる。

「お待たせ。行こうか」
「はい」

彼に手を取られ、船内へと。
ライトアップされた船内はちょっと特別な雰囲気を醸し出してて。
私好みの甘めのワインがグラスに注がれる。

「本当はこの船、プロポーズプランってので貸し切りなんだけど、俺ら既に結納も済ませてるだろ」
「……はい」
「だから、特別なことは特に要らないから、グルっと一周クルーズして貰うことにしてあるから」
「そうなんですね」
「あ、でも」
「ん?」
「彩葉がさっき食べれてないと思って、少し軽食をお願いしてある」
「ホントですか?」
「ん。本当はケーキとシャンパンらしいんだけど、彩葉は甘めの赤ワイン好きだし、食事も要るかと思って変更してあるから」
「ありがとうございますっ!」

さすが、郁さん!
仕事が完璧です!!

「失礼致します」
「わぁ~っ、美味しそう!」
「フフッ。俺の分も食べていいぞ」
「ホントですか?」
「ん」

私好みのシーフード系のお料理が並ぶ。
思わず生唾をゴクリと飲み込んだ。

**

「郁さんっ、Sky-Boatです!」
「ん」

名古屋の夜景スポットでもデートコースでも人気のサンシャインサカエにあるシースルーの観覧車。
全てのゴンドラがシースルーというもの。

夜はライトアップされていて、遠くから見るのがお勧め。
だからこうして、クルーザーから眺めれるのは絶景だ。

「寒くないか?」
「大丈夫です」

7月上旬ということもあってシフォンのワンピース姿の私を気遣った彼。
優しく肩を抱き、そっと肩先を撫でてくれる。

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