Special Edition

交泰殿(キョテジョン)(王妃の寝所)に呼び出された世子(セジャ)(王の世継ぎ)のヘスは、重い足取りで資善堂(ザソンダン)(世子と世子嬪(セジャピン)の居所)を後にした。

「ヒョク(世子の護衛長)、一刻ほどしたら呼びに来い」
「承知しました」

この所、頻繁に呼び出される。
というのも、世子嬪のソウォンと婚儀を終えて既に半年が経とうとしている。

王の世継ぎであるヘスは、齢二十歳。
王室は早婚ということもあり、御子がいてもおかしくない年齢。
ただし、先妃との婚姻関係が長く続いていたのにも関わらず、御子が授からなかったこともあり、国民の期待はかなり大きい。
世子嬪が十九歳ということもあり、宮中でも今か今かと懐妊の知らせを待ち侘びているのだ。

「ソ尚宮(サングン)、取次ぎを」
「王妃様、世子様がお見えになりました~」
「通して」
「世子様、どうぞお入り下さいませ」

尚宮が居室の扉を開ける。
ヘスは深呼吸して王妃の元へと歩み進めた。

白壁に赤茶色の柱、建具は若木色の明るい色目の室内。
国政に関与しない王妃として名高く、国母としての威厳を保つために華やかさと清廉さを際立たせるそんな造り。
天井には吉祥柄の文様が施され、国の繁栄を日々案じている。

「母上」
「座りなさい」

ヘスは拝礼して王妃の正面に腰を下ろした。

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