同居人【完】
「俺、居候だから」
そう言ってにこっとこいつは笑うのだが、俺的には冗談じゃ無い。俺は二人分のコーヒーを作りながら、以前、こいつに「しょせんお前なんて居候!」と言ったのが未だに尾を引いているなあと思った。俺の中で。
謝りたいんだけど、覚えて無いんだろうし、それで良いと思ってるんだろうなあ…。
2LDKで良かった。お金があって良かった。光熱費も食費も折半で良かった。まあその辺は俺が全面的に払って良いんだが、なぜかこいつ、家賃だけは払わせてくれる。何だこいつ。
「コーヒー飲む?飲むよな。オイ」
「飲む」
「ほら、オイ、牛乳もあるよ」
まあこいつが勝手にまめまめしく買って来た500mlものだ。何だこいつ。
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