愛するが故に・・・
部屋に着くと和真さんは上着を脱ぎ、

ウイスキーとグラスを持ってソファーの腰を下ろした。


「理香、そこに座れ」


なんとも命令口調なのが気になるけど、反論できるような私ではなかった。

言われた通り私はソファーに腰を下ろすと


「なめてんのか…そっちじゃねえ」


といい、私の腕をつかみ、和真さんの隣の引き寄せた。

和真さんはグラスにお酒をそそぎいれ、そしてそれを口にする。


「理香…電話に出ねぇのはなんでだ?
 今まで一度もなかったよな。こんなこと。」


和真さんは怒っているような…違うような…

私にはわからない表情を浮かべていた。


『わっ私がいつどこで何をしようと勝手じゃないですか…
 和真さんに・・言わなくちゃいけないんですか…』


和真さんの顔を見ることはできないけど、

きっとこれは怒っている。間違いなく…

でも、私は何も間違ったことはしてないし。

だって、和真さんだって好き勝手に女の人と遊んでるし、私だって自由にする。

そんな思いだった。
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