もしも愛が買えるなら
「お客さんは年上が多いからさ……」


リョウの言い方は、ほんの少し愚痴っぽく感じた。

その言い方に喜びを感じてしまう。


「やっぱり、そうなんだ」

「うん。ミユキちゃんみたいな若くてカワイイ子なんて、いないよ」


あたしは『カワイイ』という言葉に、敏感に反応していた。

今までの不安が優越感に変わっていく。


良かったぁ。あたしの方がカワイイんだ……。

そうよ! あたしは告白されて、彼女になったんだから!

他の女たちはお金を払って、リョウに会ってもらってるの!

あたしは違う!


リョウの話だと、お客さんは様々な人がいるらしい。

年代も職業も様々で。

店舗型のホストクラブと違って、ごく普通のOLや専業主婦もかなり利用しているみたい。

あたしはリョウに、選ばれた女!


このウヌボレが、どんなに愚かな事か……

その真実に気づくのは、もう少し後だったんだ。


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