もしも愛が買えるなら
ネットカフェを出た時、あたしはリョウの仕事について一通り理解していた。


「夕飯、どうする? ミユキちゃんは何が食べたい?」


時間は午後8時を過ぎていた。

ネットカフェに長時間いたみたい。


「何でもイイよ。リョウ君に任せる!」

「なら、ファミレスでもいい?」

「うん!」


あたしがオッケーすると、リョウは心底ホッとするように言う。


「良かった……。俺、金欠だからさ……」


リョウの恥ずかしそうな表情を見て、あたしは思わず叫んでいた。


「大丈夫? ファミレスくらいなら、あたしが出せるよ?」

「ううん。それくらいなら、俺も出せるから。ただ初めてのデートなのに、カッコ悪いな……って思ってさ」

「そんなことないよ!」


あたしは心から叫んでいた。


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