もしも愛が買えるなら
「予定がハッキリしたら連絡するから」

「うん」


これ以上は粘れない。

次の約束が決まらなくても、引き下がるしかなかった。

あたしがションボリしていると、リョウは優しく言う。


「ごめんね。今は何とも言えなくて」

「ううん。仕方ないもんね」

「不規則な仕事だからね……。ほんとはお客さんとデートするより、ミユキと会いたいんだけどさ」


あたしは切なくなった。

あたしだって、リョウに会いたいよ!

他の女の人じゃなくて、あたしとデートして欲しいのに……。


「早くランクの高いホストになりたいよ」


駅での別れ際、リョウは実感を込めて言った。


「そうだね。早くなれるといいね」

「高いランクになれば2倍の指名料だからさ。そうなれば、仕事も今ほど詰めなくていいし……。ミユキとも会いやすくなる」

「ほんとに?!」
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