お願い…先生。
―『好き』
2つの唇は
そっと離れて
確かに茉莉が
口にした言葉。



さっきの熱のせいか
キスしたせいか
茉莉の頬は
リンゴの様。



『……滝沢』



その言葉に
我に返った茉莉は
自分がした行動に
頭がついていけず
走って
数学室をでた。


タタタタッ


―ドンッ

『きゃっ!!』

『あ!わりぃ!大丈夫か??』

誰かとぶつかったみたい。


『あ!』
相手は同じクラスの
北山疾風(きたやまはやて)くんだった。


『!滝沢じゃん!どうした?なんかあった?』

(…え?)

『な、なんでもないよ。大丈夫!じゃ、じゃあ!』


その場を通りすぎようと
した時…。


―ガシッ。


疾風くんが茉莉の
手をつかむ。




『んなわけねぇだろ。泣いてんじゃん』




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