手を伸ばせば君が。
気が付けばもう外は真っ暗になっていた。
「じゃ、俺そろそろ帰るから。」
「うん。」
葉菜はまたニッコリ笑っていた。
「んじゃ。」
由は小さく手を振った。
それを見て葉菜は、
「またね!」
と、手を大きく振った。
病院を出た時、頭の中は葉菜しかいなかった。
次は何を話そうか、
次はもっと話ししたい、
何を持って行けばいいか、
次に会うときが待ち遠しい。
葉菜の事を思いながら由は、軽い足取りで歩いた。