もっと美味しい時間  

なんだぁ~。これを置いていったということは、初めから外出させてくれるつもりだったんだっ。
こういう気の回し方、慶太郎さんらしくて素敵!!

“恋は盲目”とは、よく言ったものだ。
一年前までは『大嫌いっ!!』な上司だったのに、今は大好きな彼氏さんで……。
いやっ、大好きでは収まりきらない気持ちが、つい口から漏れてしまうくらいだ。
ソファーの上に脱ぎ捨てられているTシャツを胸に抱く。ふわっと香る彼の匂いに、昨晩ベッドで抱かれた時を思い出す。
朝っぱらから何考えてるのよっ、私!!
顔を赤く染めると、慌ててソファーから立ち上がる。

「せ、洗濯しなくっちゃ」

少し冷めたロイヤルミルクティーを飲み干し気持ちを冷ますと、洗濯機を回し始めた。


-----百花の手料理が食べたい-----

慶太郎さん、私を喜ばすツボをちゃんと押さえてる!!
大好きな料理を大好きな人に作れるのは、何度でも味わいたい至福の時間。
作るのはもちろん、何を作るか考える時間、材料を買いに行く時間さえも楽しくなってしまう。

「やっぱり魚料理だよねっ!」

大阪に行ってからメールのやりとりをしていると、『今晩は串揚げが旨かった』とか『豚玉のお好み焼きを食べた』とか、魚と野菜が不足気味なのが気になっていた。煮魚がいいかなぁ、それとも塩焼き? いい物があれば開きもいいんだけど……。
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