もっと美味しい時間  

そんなことを考えながら、身支度を整えていく。
今日の化粧は簡単でいいよね。スーパーに行くぐらいしか、予定ないし……。
櫛で髪をとかしていると、洗濯機が終了のアラームを鳴らし始めた。
前髪をピンで留め、洗濯機の前へ。洗濯物をカゴに入れハンガーを持つと、ベランダに移動する。

「低っ!!」

物干し竿の低さに、おもわずそのままの言葉を言ってしまった。
でもこれじゃあ、お日様に当たらないんだけど……。こんなに良い天気なのにもったいないなぁ。
渋々そこに洗濯物を干すと、大好きなキッチンへと向かう。
そして冷蔵庫を開けると、もう一度何が入っているか素早くチェック!!

よしっ、覚えたっ!!

それにしても、充実した冷蔵庫だこと。他に女がいたりして……。
な~んてねっ!!
慶太郎さんに限って、そんなことがあるわけないっ!!
着ているワンピースの上にカーディガンを羽織り、地図と鞄を持つと慶太郎さんの家を出た。

ちょうど18階に停まっていたエレベーターに乗り込み1階へと下りる。

「エレベーターの中まで豪華だ」

昨日上がってきた時は、櫻井京介が気になってエレベーターどころじゃなかったからなぁ。
櫻井京介の名前で、朝慶太郎さんが出掛けるときの事を急に思い出す。
慶太郎さん、話聞いたのかなぁ……。
櫻井京介は何て答えたんだろう……。
疑問ばかりが頭の中を過ぎる。
心配したってしょうがないんだけどね。
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