もっと美味しい時間  

腕の中で寝てしまった緑を簡易ベッドの下ろすと、静かになった新を私から奪い緑の横に寝かす。

するとゆっくりこっちを振り返り、ニヤリと口角を上げた。
この顔をする時は、良からぬことをする時のサインみたいなもんだ。
とっさに逃げようと思っても、重いウエディングドレスを着ているせいで上手に動けない。

「逃げるなよ。百花の期待に応えようと思ってるだけだぞ」

「き、期待なんてしてないし……」

「ふ~ん、そうなんだ」

「そ、そうだよ」

だって、さすがにマズいでしょっ!!
来賓の方々を待たせて、ここでナニしちゃうのは……。
私もそこまで節操なしじゃない。我慢、我慢は出来る。
でも……。

「夜は期待してるかなぁ~」

最近は、こんなことまで自分から言えるようになりましたっ。
成長? 調教? 後者のほうが正解かな。

慶太郎さん色に染められた身体は、もう慶太郎さんなしでは生きていけないようだ。




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