もっと美味しい時間  

でも何で、百花の前と俺に対する態度が違うのか……。
そこがずっと気になっていた。


慶太郎たちのことや会社のこと。いろいろ話をしながら、お酒もいいペースで進んでいたが、ある時ふと話が途切れた。


俺はチャンスとばかりに、さっき思っていたことを聞いてみることにした。


「ねえ美和さん。一つ聞きたいことがあるんですけど」

「はい、何でしょう?」

「あなたの本当の姿はどっちですか?」

「どっちって言うと?」

「百花の前のあなたは、面倒見のいいしっかりとした先輩って感じですけど、俺の前だと……」

「女らしい?」


思っていたことを先に言われてしまい、言葉に詰まる。
そんな俺を見てクスクスと笑う姿に、少し怒りが込み上げてきた。
やっぱり今の女らしい姿が、作られたものなのかとっ。


「なんで笑うんです? 俺をバカにして、楽しいですか?」

「バカにしてなんて、とんでもないっ。ただ……」

「ただ、何ですっ?」


勿体つける言い方にイラッとしてしまい、少々声を荒げてしまった。
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