スクランブル・ジャックin渋谷
モニタービルA
 交差点にいる、宏と博恵。

2人の模様を、久美子たちが取材をしている。2人の姿が、モニターに映し出さられている。

久美子「博恵さん。あなたが最初に、この交差点で踊ったそうですね。この交差点で踊った感想を、全国民に伝えていただけませんか」

 カメラが、宏と博恵の顔を映し出している。

 博恵は、宏の顔をじっと見た。目を閉じて、大声で叫んだ。

博恵「宏ー。あたしと、結婚して下さーいっ!」
 日本全国の、大勢の人たちが見ている。

 宏は絶句した。自分が先ほど、結婚の申し込みをしたばかりなのに、突然博恵のほうから、逆に申し込まれた。

宏「はい。よろしく、お願いします」

 多少戸惑いはあったものの、笑顔で答えた。
そうして2人は、抱き締めあうのであった。

道代とマスターは、拍手を送った。
久美子も、笑顔で拍手を送った。

みんな、踊りを止めて、盛大な拍手を送るのであった。

ピエールだけは、不満足な顔をしている。
宏は、久美子からマイクを奪った。

宏「皆さん。そろそろ、解散しましょう。散らかしたゴミは、各自責任をもって、持ち帰って下さい。私たちの街です。渋谷を、きれいにしましょう」

 宏は、一呼吸置いた。

 踊りを止めた、5万人以上の群衆たちが立ち止まっている。
ピエール・道代・マスターがいる。

 宏と博恵が、微笑んでいる。そして、大声で叫んだ。

宏と博恵「スクランブル…」
5万人「…ジャックっ!」
 
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