笑う女神
とそんなふうにこれからの夢と希望を膨らませていたら、トンと軽く肩を叩かれた。

俺は、「人が夢を膨らましてんのに邪魔すんなよ」と心の中で文句を垂れていたが、「もしかして女からの誘い!?」とか自分の都合のいい方に持っていって、淡い期待を持たせながらそいつの方を振り向いた。

「やっぱり!お前、野宮だろ?」

だがやっぱり女の子なんているわけがなく、そこに立っていたのは自分と同類の、むさくるしい男だった。

「あ…佐々木?」

一瞬だけ「こいつは誰だ?」と話しかけてきた奴に失礼なことを思ってしまったが、過去を振り返るとすぐにこいつの顔が見覚えのある顔になった。

こいつは確か佐々木恭一(ささき きょういち)っていう中学のときの同級生だ。

一度だけだが、同じクラスになった。

そのときは結構仲良くしていて、ときどき皆を困らせたりもした。

佐々木と俺は、いわゆる「悪友」っていうヤツだった。
< 2 / 12 >

この作品をシェア

pagetop