虹になる日がきたら
「知っていただいてるとは光栄です」
「知り合いが話してたんですよ」
笑い方は変わらない…
「彼女さんですか」
「あ…あぁ、まぁ…親父には反対されてんだけどね。
そろそろ俺も身を固めようかなって……此処だけの話、
ガキ出来ちゃいましてね」
えっ?
赤ちゃん…?
「羨ましいですね、私も欲しいです」
「そうですか?」
嫌そうな素振りしてるけど口角が緩んでる。
「美玲、俺達も早く家族になりたいね」
「美玲?」
「婚約者の鞍橋美玲です」
目が合って……震える身体
な…何か言わないと
解っていても、脳が連動しない
「すいません、気分が優れないみたいで」
一君に恥をかかさない
「ひさ「初めまして、鞍橋美玲です」
深々とお辞儀をして綺麗に笑って見せた。
「………」
「あっ、お帰りになるんですよね。
足止めしてすみません」
しおらしい一君
「一君、ちょっと化粧室に行ってくるね」
「一緒に行かなくて平気か?」
「平気だよ~」
前は声が似てると思ったのに、今となっては違う。
一君の声質の方が落ち着く。
あらチャンに一礼して会場を出た。
「美玲」
来ると思ってた。
「久しぶりだね…元気だった?」
「アイツと結婚すんのか?」
「一君?」
「そうだよ」
身体が声に反応して飛び跳ねる。
「おめでとう、パパになるんだね」
冷静さを保たないと。
でも、
私の子供は要らないって言ったのに
「あぁ、なんか実感わかねぇけど……此処だけの話、美玲に子供が出来てたら即、籍入れてたのにな」
苦笑いしたあらチャン
「…うそ言わないでよ!」
あの時はもう私達おかしかった
「えっ?」
「私との子供は要らないって言ったくせに、私が笑うと皆が不幸になるって言ったくせにいい加減な事言わないでよ!
人殺し」
言うんじゃなかった…何もかもが真っ黒で一君が後を追ってきてたのもわからないで溜まっていた物をさらけ出してしまった。
“人殺し”は、自分を正当化させたかっただけ
一つの命から目を反らしてきた
なかった事にしていた。
その罪が今、仇となって降り注いで来た。