狼と子羊の物語
田中さんが辞任…?
「ゆっちゃん…?」
私は一刻もお父さんに確かめたくて
ーバンッ!!ー
「ゆっちゃん!!」
部屋を出て階段を降り
リビングまである長い長い廊下を
走った。
ーバンッ!!ー
「遊紗!?」
「ハァハァー…お、お父さんは…?」
リビングには兄愛澤 湊の姿しか見えない。
「親父?まだリビングには来てないよ?」
「そっか。」
まだ7時だもんね。
「あれ、お兄ちゃん今日休日なのに大学
?」
「まあね、今日中に報告書しあげなきゃ
ならないんだ。」
「そっか、大変だね。」
「まあ、大変だけど好きだからね」
ニコ微笑む姿は、とても可愛かった。
兄と私は、三つ離れている
おまけに、頭もよく優しくイケメンだ。
私達兄妹は、
疑いたくなるほど似ていない
「んー!さーて大学に行こうかな」