おやすみ、先輩。また明日
「すみません! 遅れました!」
息を切らして調理室に飛び込むと、もう部員はそろって席についていた。
今日は調理日じゃなくて、次作るものを決める話し合いの日。
1年のテーブルに行くと、山中さんは熱心に和食の料理本を開いて読んでいる。
勤勉で熱心で真面目だなあ。
「遅いぞ桜沢~」
「ごめん須賀ちゃん。掃除でゴミ捨てに行った男子がなかなか帰ってこなくてさあ」
「あ、それもしかして竹本? さっき2年の女子にへらへらしながら声かけてんの見たわ。フラれてたみたいだけど」
「竹本くん……」
どうりでしょんぼりしながら帰ってきたはずだ。
苦笑いしていると、準備室から神林先生が出てきて軽く手を打った。