おやすみ、先輩。また明日


『藤が俺にそんなかっこ悪いことわざわざ言うわけないじゃん。
麻美ちゃんもリンチ事件の時から一切連絡ないし』



リンチ事件って……。


つまり、上手くいってないっていうのも、宇佐美先輩の主観なわけだ。



『だからさ、杏ちゃんは犬らしく尻尾振って走って突進すればいいの。
当たって砕けたら、骨は俺がひとつ残らず拾ってあげるから』


「嬉しくない……」



応援してるんだかやる気をそいでるんだか。


相変わらず宇佐美先輩はつかめない人だけど。

優しいってわかってるから、わたしも少し笑顔になれた。



「ありがとう……宇佐美先輩」


『気楽にいきなよ。フラれても俺がいるんだし。じゃ、またね』



最後に意味深なことを言って、さっさと電話を切った宇佐美先輩。


冗談、だよね?


通話の切れたケータイを見下ろして、わたしはやれやれと小さく息を吐いた。






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