強迫性狂愛
「……ったかった」


「え?なに?」


「逃げたかったの…っ、ほんとは…ック」


「そっか」


「で、でも、逃げたら…赤ちゃんに…悪いって…」


「百花」


「に、逃げてもいい…?」


「―…あぁ、逃げてもいい」


「わ、私…っ、逃げても…ック…」


「百花」


「……ん?」


「逃げよう。一緒に」



まるで、魔法の言葉みたいだった。


今まで抱えてきた重みがスッと取れたみたいに―…軽くなって。


いっぱい涙が出てきた。


翔くんの手を、強く握ったまま―…


私は、学園を後にした。
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