強迫性狂愛
「………」



柚香は、呆然とした表情で涙を零していた。


思わず、眉を顰めた。



「柚香…」



私の声にハッとした柚香は、咄嗟に涙を拭うとバタバタと教室を出て行った。


あの子は、あの子で…黒澤様を本当に―…


私は、絡まらない想いに、少しだけ胸が痛くなった。


それでも―…柚香のしたことは、どうしても許せない。


柚香…


紅は、複雑な想いを残したまま、隣にいる海斗の手をそっと握り締めた。
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