饅頭(マントウ)~竜神の贄~
「昨日・・・・・・というか、もうほとんど今日ですけど、明け方に宴が跳ねて、そのままですよ。やっとこの宴三昧も、一段落した感じですわ。ゆっくりとお休みになってください」

 虎邪から器を取り、神明姫はそう言って、にこりと笑った。
 虎邪はその手を素早く取る。

「姫君の心遣いで、すっかり治りましたよ」

 へら、と笑うが、神明姫は口をへの字に曲げて、とん、と虎邪の頭を叩いた。
 途端に、ずきんと頭痛がぶり返す。

「もう、ちょっとは大人しくしておいてください。心配しなくても、ちゃんとわたくしが、今後ずっとお世話して差し上げます」

 頭を抱えて呻いていた虎邪だが、神明姫の言葉に、え、と顔を上げた。
 その動きで、また頭が割れるように痛む。

 悶絶する虎邪に明るい笑い声を残し、神明姫は部屋を出ていった。



*****終わり*****
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