饅頭(マントウ)~竜神の贄~
---やっと見つけたあぁぁっ! 彼女こそ、俺の理想の姫君だっ!---

 ちなみにこの国の神官というのは、特に妻帯してはいけない、という決まりもないし、飲酒も肉食も禁止されてはいない。

---ここは早々にこの地の用事を済ませて、とっとと神明姫と甘い一時を持とう。彼女が運命の姫君だとしたら、ちょっと身分が低いかもしれないけど、ま、そんなことは問題じゃないさ---

 うきうきと、思いを馳せる。

 一方神明姫のほうは、先程からそわそわと、虎邪の横に控える緑柱(リュイジュ)を見ている。

---あのかた・・・・・・。もしかして、あのかたは、私の夢のかたではないかしら。何となく、あの朽ち葉色のお衣装は、夢の中のあのかたが着ていたものに似ているような・・・・・・---

 髪の色や雰囲気が、似ているのだ。

---とはいえ、そう覚えているわけでもないのだけど・・・・・・---

 顔は、いつも夢の中では、はっきり見えない。
 よくよく考えてみれば、姿形だって曖昧だ。

 だが、何故か神明姫は、緑柱に惹かれた。
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