饅頭(マントウ)~竜神の贄~
第一章
「っ!!」

 びくん、と宙を掻いて、神明(シェンミン)は目を開いた。
 そのままじっとしていると、柔らかな布団の感触が蘇る。
 チュンチュン、という小鳥の囀りの聞こえる、爽やかな朝だ。

 ふ、と神明は息をついた。
 のろのろと、身体を起こす。

「まぁ姫様。お目覚めですか」

 神明が身を起こすのを目ざとく見つけ、天蓋の向こうから声がかかる。
 そしてすぐに、しゃっとカーテンが引き開けられた。

「よくお眠りのわりに、何だかうなされておいでだったようですけど」

 神明付きの侍女、露(ルウ)が着替えを持って来つつ言う。
 神明は、うん、と頷き、深呼吸した。
 まだ鼓動が高鳴っている。

「いつもの夢ですか?」

 もう一度、神明は頷いた。
 先の夢は、ここのところよく見るのだ。

 初めは特に気にもしなかったが、あまりに繰り返し見ると、段々と気になるものだ。
 それに、何だか最近、夢というにはあまりに生々しく感じるようになってきた。
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