饅頭(マントウ)~竜神の贄~
 そう言って、いきなり本の背表紙を掴んで引き抜こうとする。
 感心しているわりに、扱いはぞんざいだ。

 案の定、件(くだん)の本の背表紙は、呆気なく、ぼろ、と崩れた。

「わーーっ! ちょっと丁寧に扱え! 本自体が崩れたら、折角見つけたのに、元も子もなくなるんだぞ!!」

 慌てて虎邪が緑柱を押しのける。
 そして両端の本をどけ、二人がかりで慎重に引き抜くと、そろ、と机の上に置いた。
 なるべく丁寧に、ページをめくってみる。

「・・・・・・うわ。古文かよ」

 目次らしきページで、虎邪は顔をしかめた。
 文体は、古代文字とまではいかないものの、すらすらとは読めない古文で書かれている。

 しかも。
 注意しないと、ページはぼろぼろと崩れていく。
 急いで読むことは不可能だ。

「くそ。しょうがない。緑柱、お前はその、今選んだ他の本を読んでくれ」

 緑柱に古文は読めない。
 虎邪は灯りを引き寄せると、まずは目次の読み解きにかかった。
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