The Back Unit




今いるのはもう使われていない工場。
そんな訳だから誰もいない。
いるのは僕と怖い人達だけ。



僕は工場の前に追い詰められたウサギよろしくたかられていた。
後ろには海。
最悪だよーっ!

怖くてグルグルと目を回しはじめた僕を見て、男の人達はもっといらいらしたようだった。


「…ち、違います……人違い…です…!」


ぴゃー怖いよーっっ
そう思いつつ言った言葉は、男の人達を余計に苛立たせたのか、皆眉間にシワをよせてる。


うぅ…
怖いよ…
お腹も痛くなってきたよぉ…


追い討ちをかけるように痛みだしたお腹は僕の運命を変えてくれる訳じゃない。


(うぅ…寒いし怖いし痛いよぅ…)


なんでこんなことになっちゃったんだろ…
僕悪いことしたっけ…?

分からんない
でもこの人達は僕を狙ってる…


こんな僕を…



もう訳が分からないよ…!



「もう一度聞くが…」


怖い黒服の人達が僕に言う。


「あんた唯香さんの息子さんだろ?」


いらついた声で今にも僕を殴ってきそう…
そう思ったら足が痛くなった。


「痛っ…!」
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