光の庭
「悪い…あはははは」

空にまで届くかと思うほどの笑い声を上げて、星川は腹を抱えて大爆笑した。

「し…死ぬ…腹筋痛い…息が出来な…い」

引き笑いをして、目には涙を浮かべている…

″…こんな人だったっけ…?″と花倉は心の中で毒づきながら、さらに顔が真っ赤になった。

「あ〜もう君とは一緒に転生しないよ…してやったりでしょ?面白かった?」

完全にふてくされた花倉が、涙目になると言った。

「…ゴメン…それはダメ…」

星川は背中を向けてしまった花倉に手を伸ばすと、後ろから抱きしめた。            

突然の事に耳まで赤くなった花倉は、何も言えず押し黙った。

風が優しく吹いて、二人の上に桜の花びらが舞い降りて行く…

聞こえてくるのは、心地良い噴水の水音で、どれくらいそうしていたのか…

「…ズルイ…」

花倉があきらめたように、先に口を開くと星川は応えた。

「…知らなかった?」

「うん…」


青い二匹の蝶々が二人の周りをヒラヒラ舞うと、天高く青い空へと消えて行った…


(終わり)

< 61 / 61 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:5

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

告白の時間

総文字数/27,667

恋愛(純愛)53ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
千歳さつきがマスターをする喫茶店「空の名前」に15年来の友人、桂木十子(かつらぎ・とうこ)と花園樹(かその・いつき)が訪れた 酒盛りがはじまり、千歳と花園が酔い潰れた横で桂木は、鳴海にある頼み事をする その内容は、鳴海に千歳を口説いて欲しいという内容で… 鳴海は好奇心と親切心からこの計画に協力する事になるのだが、桂木には真の思惑があって… 「黄金時間が過ぎるまで」のスピンオフの小説です。本編をお読みになってる方もそうでない方も楽しめる、短編恋愛小説になっています(たぶん)
海の花は雪

総文字数/151,818

ファンタジー369ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
夏休み、学校の図書館を訪れた深谷少年は、ある扉を開た事から異世界に行ってしまう そこで出会ったのは、同じ学校の上級生のハルで、数日前ここに来て帰れなくなったと言う… 果たして、そこは一体どこなのか?無事に生還する事は出来るのか…? そんな二人の出会いから始まる、海底ロマン&学園ほのぼのファンタジーです(^_^) ☆海底の王国〈封印編〉&海底の王国〈外伝〉とリンクしています
美術部ってさ!

総文字数/4,217

青春・友情10ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
美術の補修を受けていた男子高校生の椿は、デッサンのコツを美術部の男子部員、冬馬に教えてもらう事になる それは美術部員独特のユニークなもので、椿は美術部と変わり者の冬馬に興味を持ちはじめる… ありそうでない、美術部ものの短編小説です

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop