地下世界の謀略





「捕らわれるんじゃない、捕らえに行く」


そして、最終的には。



《ーーー貴方と、話してみたくて》




閉じた瞼の裏に映る、綺麗に笑った彼女を。




「…アルト?」

「、ああ…」


月の声に我に帰った彼は、彼自身が気付かないほど辛い顔をしていた。

彼の中心はいつだって、彼女だ。



「…俺にとって、アイツは、さ」

「………寧々さん?」

「そう。アイツは俺の命の恩人だし、」

「……うん」

「荊の研究所が崩壊した時に、逃がしてくれたのがアイツで…」


段々と開いては閉じてを繰り返す瞼、相当体力を消耗したのだろう。言葉数も少なくなっていく。目尻に薄っすら映るのは涙は、気のせいだろうか。



「…、生きててほし…い」


「……」





ーーーただもう一度逢いたいと願う、力無い呟きは。

目前でアルトを見つめる彼女の心に、微かな痛みを与えていた。



「、そっかあ」




それは、"恋慕"でしょう?

アルト。






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