追憶の淡恋詩
その日は意外と早くやってきた。
この翌日で、仕事終わりに近くの店に行くと約束をした。

我々は「誰かに見られないか?」という変な心配をしながら街を歩く。
もちろん、見られたっていいのだが・・・。


店に入って、緊張気味な私は早く酔おうとハイペースで酒を飲み続ける。
滅多に手を出さない日本酒にも出を出す。

ほどよく酔った私は、彼女と一緒にいる事で幸せな気分に浸っていた。
そう、私は酒に酔っていたのではなく、彼女に酔っていたのだ。


彼女も酔っているのか、私の目をじーっと見つめてくる。
私も見つめ返したいのだが、照れてしまって目をそらしてしまう。

その光景を見て彼女はよく笑った。

私は昔から、女性と子供に見つめられるのが苦手だ。



お互いに仕事が終わったのが遅かったので、すぐに終電の時間がやってくる。

飲みに行って、酔って、終電が迫ってくる。
男としてはこの時、この後の「ある事」が頭によぎるのだが、そこはまだまだ行動に移せない。
< 7 / 35 >

この作品をシェア

pagetop