追憶の淡恋詩
店を出て、駅まで一緒に歩くその時間、その時間が止まってしまえばいいと思った。
私はあえて遅く歩いた、それでも駅に着いてしまう。



方向は逆なので、ホームは別だ。
電車が来る前の間、二人は線路を挟んで立っている。
会話をしているワケではない、ただ二人で微笑みあっている。


先に電車が来たのは彼女のほうだった。
それに乗り込んだ彼女は、ガラガラの車内にもかかわらず、窓際に立って私に手を振っている。



彼女とともに電車は去っていった。
もちろん、その場所に彼女の姿はもうない。


しかし、私には彼女の残像が残っていた。
私はその残像と、今夜一緒に過ごした時間を思い出しながら、帰りの家路に着いた。





この夜は私にとって、大きな一歩になったのは間違いない。
そして彼女を愛する気持ちがさらに大きくなった夜だった。
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