愛シテアゲル


「ところで、小鳥。今夜は、エンゼルじゃなかったね。お母さんはいま、何に乗っているのかな。明日、ゼットがないと困るんじゃないかな」

 ああ。ここでもまた。説明しなくちゃ――。
 小鳥は頭を抱えながら、伊賀上マスターにも、エンゼルに乗っていない理由を説明した。

 おじいちゃんもとても驚いて心配そうな顔になったが、その後は、カウンターで顔をつきあわせて、フルーツを食べたり、二宮からもらってきたレモンパイを食べたりして、夜遅くまで沢山の話をした。
 

 この家に泊まるのは初めてではない。夏休みに、弟たちと泊まったり、おじいちゃんが体調を崩した時は琴子母と泊まり込んだこともある。

 その為、滝田の誰かがいつでも泊まれるよう、伊賀上邸には二階にゲストルームを用意してくれている。



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