愛シテアゲル


 それでも、翔との話し合いで『基本は泊まらずに帰る。週末の食卓は実家で』を守るよう努力した。

 そんな母に『今日、翔兄と挨拶に行きます』という話だけはしておいた。

 彼と付き合い始めて三年。おそらく、英児父ももうわかっているはず。従業員の皆も父親の手前あからさまに触れては来ないけれど、影では『翔と恋仲』は会話でさりげなく交わすようになっていた。

 つまり、公認の仲。でも親父さんだけが、正式に認めてない。

『どこのお父さんも一緒よ。最後まで抵抗すると思うけれど、頑張りなさい』

 それが琴子母からの言葉だった。

 今日は琴子母も自宅にいるので、報告する時に英児父の傍にいて助けてもらう約束もしていた。
 だから大丈夫だよと、小鳥は彼を宥める。緊張する彼も信頼しているオカミさんを頼りにして、前々から覚悟していた挨拶に向かう。



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