もう春は来ない


 始業を告げるチャイムが鳴った。

――なんだ、今日は休みか……。

 僕はその時も、まだそんな風に思ってて。


「知っている者もいると思うけど…」

 数分後、担任がいつもと違う様子で話し始めても、僕は、いつものようにそれには無関心だった。


 そのうえ、

 窓の外に目を向けて、昨日キミの髪に張り付いていたその春色の花びらを目で追っていた。


 いつものように。
 
 なんとなく。

 今日だけは……、



 春の生ぬるい空気に混じった、少しあったかいソレを感じながら。


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