もう春は来ない
「小春、ごめん!本当にごめん……」
八木の言葉に真っ先に反応したのは、あれから一年間、毎日山下の机に花を飾り続けてくれた、小中学校と、山下と一番仲良かった坂本だった。
坂本の声に釣られて、クラス中の女子が声を出して泣き出した。
もちろん、山下を虐めていた水野も、門倉も、寺田も。
みんな、肩を震わせ、泣き崩れた。
その様子に、男子もそれぞれ鼻をすすりだす。
もちろん、僕も。
――ごめんな、山下。
一日早く気づいてたら…とかじゃなくて、俺が……。
なのに、言葉が出てこなくって。
「そうだな、八木の言うとおりだな、よし、みんなで山下んち行こうぜ!みんなで山下に謝ろうぜ!それが本当の友達だ!そして、来年の春、山下と一緒に卒業しようぜ!」
そう暑苦しい発言をした和也は、その後いつまでも、大声で泣き叫んでいた。
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