女王の密戯
大城和樹の顔写真を眺めてみる。
茶田は免許証の写真を利用したものを凝視した。

一重瞼の目は少し目尻が下がっている。短く切り揃えられた髪は清潔感はなく、ただ楽なようにそうされたようにしか思えない。両耳に下げられたリングピアスは女々しさを感じさせる。
肌の色は浅黒く、日焼けサロンで焼いているのか。

何処からどう見ても普通にいる青年。
少々の派手さはあるものの、何処か特別さはない。

殺される人間の殆どなんてそんなものだ。何が特別だというわけでもないのに、そこに選ばれる。本人が悪いなんてことはない。
寧ろあっては堪らない。
そこにどんな理由があろうと、それは殺される理由になどなりはしないのだ。

茶田の脳裏に不意に小さな肉塊が浮かんだ。

小さな、というのは大人と較べてというものだ。折り曲げられた手足は胴体にくくりつけられ更にその身体を小さく見せた。
雪のちらつく冬空に全裸でその肌を真っ白にさせていた。
それは本当にだだの丸い「肉塊」にしか見えなかった。

――――優輝。

何故わかってしまったのだろう。
顔は変形するほどに撲られ、目は開けられないどころか何処が目なのかわからないほどだった。
鼻も砕かれ、口には白い布が詰め込まれていた。それでもそれが自分の息子だと一目でわかってしまったのだ。

頭が真っ白なる。思考が止まる。
どんな言葉も当てはまらず、そのとき何を考えていたのかも思い出せない。

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