厄介な好奇心
「明日まで・・・かあ」

「ええ、でもそれは仕方ないですよ。病院としても責任がありますからね。少しの間ですから我慢してゆっくりとされたほうが良いと思いますよ」 

 病院の早い夕食が終わると、誰かに連絡しておいたほうが良いのではと思った。親兄弟、友達、会社の人間、その中の誰に電話しようかと思考を巡らしたが、どうせ休み中には退院することから会社関係はリストから除外し、親兄弟と友達のどちらかにしようと思った。これは、入院したからではなく、自分の中で悶々としている疑惑を誰かに聞いて欲しいのと、あわよくば、謎を解いて解決して貰えたらという思惑だったものである。それから考えると、親兄弟には余計な心配を掛けて騒がれたりないし、となれば必然的に友達となってしまうことは、何となく最初から予感していた通りの結論となった。

 ただ、話をしたところで警察と同じ答えは聞きたくない。であれば、友達までは至らないが、学生の頃に一時的に友達に近い存在だった彼女にしようか。彼女だったら他人の噂話が一番の趣味というくらいに、とにかく好奇心が有り余って仕方がない程の性格の持ち主である。 

 僕は、廊下の突き当たりにある裏口から外に出て電話を掛けることにした。後は、彼女の電話番号が変わっていないことを祈ろう。
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