瞳の向こうへ
しばらく考え込んだけど、全国大会を気にしてメールしてくれたのかなあと勝手に思ってます。


私も支度しないといけないので潤子先生よりお先に学校を後にしました。

吹奏楽部の気合いは誉めてあげたいです。

夕食の時に母と父に事情を説明した。

「実はな、退院したおばさんの全快祝いに行こうと思ってたんだ」

「先にずるい」

「しょうがないじゃない。あたしが決めたことじゃないし」

どうやら夏休み新幹線の往復が家族間で二回ありそうです。

母も思いきって遠出する気持ちになってくれたようで私はそれが今密かに感激してる。

おばさんは手話ある程度はマスターしてると思うので。

『気をつけていってらっしゃい』

『ありがと』

心なしか、母の雰囲気が明るく穏やかに見えた。

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