瞳の向こうへ
困るなあ。私は全く記憶にないよ。

「あなたは会ってないからわからないけど、僕と妻は去年とある会場であなたを遠くから眺めてたんだよ」

そうなんだ……。あ〜びっくりした。

脅かさないでください。身体に悪いです。

「これがその時の写真ね」

お母さんがポーチから一枚の写真を取りだしテーブルに置いた。

「見てもいいですか?」

「もちろん」

許可をいただき、写真を手に取る。

鮮明な写真には、去年の私が写ってる。

これは……まだ何ともない時間だったかなあ?

ニキビ出てたんだ。ちょっと目立つよね。

意外な発見がありました。

「本当なら、あなたと一緒に大会に出場するはずでしたが、不運が重なり……しかし、見に行ってよかった。葵さんの手話は素晴らしかったよ」

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