瞳の向こうへ

加奈子ちゃんが落ち着くまで加奈子ちゃんの頭を撫でていろいろ励ました。

加奈子ちゃんの方へは向きませんよ。

「ありがとうございます。すいません。大丈夫です」

うっすらと瞳にはまだ涙がたまっていたけど、だいぶ落ち着いてきた。

「私はただ前を向いて生きていってほしいって翔に伝えたくて。このまま後ろ向きに歩んでいってほしくないんです。でも、もうフラれた女は何言っても相手に響かないです。ホントに身勝手なお願いですけど、今身近で翔といる葵さんにお願いしたくて」

かわいい顔して責任重大なお仕事を任せてきますね。

「私が翔君の彼女だったら言いやすいんだけどね」

「でも、翔好きなんですよね？」

「いやいや、とんでもない」

「わかりますよ。恋してるなあって。入った時から感じてましたよ」