瞳の向こうへ
スタンドがびっしり埋まっての試合が始まった。

さて、今日は……。

…………。

俺ってスゲェよ!!

あっという間に七回まで終わったけど、ヒット一本も打たれてないよ。

デッドボールは一個与えてしまったけど、俺自身が困惑するほどの調子のよさだよ。

でも、相手は三年連続甲子園出てるだけあってソツがない試合運びをしてる。

両チーム無得点のまま終盤戦です。

こんな時は気力勝ちかな。

今日は猛暑日の予想だと言ってたが、その通りの状況でプレイボール前からうなるような暑さだった。

毎回ベンチに戻るたびに、氷袋をマネージャーが持ってきてそれを頭に乗せ水分補給を欠かさずに摂った。

キャプテンも同じく氷袋を頭に乗せて試合の行方を見守った。

暑さと試合に集中してるせいで氷袋を持ってきてくれるマネージャーが友達の廉を狙ってるなんて忘れてしまってた。

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