瞳の向こうへ
時が止まるって言うのはこういうことなんだね。

まばたき一つせず校長先生をただずっと。

持っていた原稿用紙は手から離れて散乱してしまった。

私も固まってしまって何をどうしたらいいのか判断がつかない。

「お父さんお母さんには私から伝えた。親戚の家に遊びに行ってるみたいで病院にはすぐ行けるそうです。あなたも川崎先生とすぐに向かいなさい」

ケガの具合は言わないのね。

聞いたところで悪い言葉を立て続けに浴びるくらいなら聞かないほうがマシ。

「葵ちゃーー」

葵ちゃんはスマホを手に取ってどこかへ電話してた。

何度もかけ直し。

何度もかけ直し。

「川崎先生。緊急資金です。後はお任せします」

校長先生に今用意した感丸出しの学校の茶封筒を私に託した。

葵ちゃんはどこにかけてるのか。

指使いが激しくなってきた。

現実から逃れようともがいているみたい。

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