瞳の向こうへ
このノリ……。さすがアメリカ仕込みなのかなあ。


向こうのアメリカンスクールで五年ほどカウンセラーの仕事をし、日本へと赴任してきた。


向こうの話はあまりしない。


文化の違いがあるから話す必要もないのかもしれない。


「ところで会長さん。最終学年になってもあなた一人ですかあ?」


あっさりと痛いとこついてくる。


正式なクラブ活動ではなく、同好会扱いだから人の出入りは自由。そのうち人がたくさん押し寄せてくる……と妄想を膨らませて今日に至ります。


そして、拠点はいつしかここカウンセラー室になってしまいました。


「ご心配は無用です。かわいい後輩がもう間もなく来るはずなんですが」


「え?一年生?あららいつの間に」


「中学の後輩です。昔いろいろ手伝ってもらってたんです。手話は潤子先生より一歩上手ですけどーー」


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