瞳の向こうへ
結局、青柳君のホームランで何とか上級生の威厳は保ったみたい。

なーんて言ってたらすっかり日がくれて真っ暗ですよ。

急いで荷物を取りにカウンセラー室へと戻る。

電気はついてるけど、カーテンは閉じられてる。

さすがに潤子先生帰ったか。

電気を消してカウンセラー室を出た。

「あらららら?」

玄関にユニフォーム姿の翔君がいるじゃないですか。

下駄箱によしかかって私の天敵スマホをいとも簡単に。

『あ!葵さんに見せたらいけない物でしたね』

そう言ってカバンにスマホを入れた。

『別にいいよ。彼女にメールしてたならどうぞ』

『やっぱりキャプテンは凄いなあ。世の中広い』

いきなり話をコロッとかえる技術はとっさなのかもう染み付いているのか。

『弟の手話はわかる?』

『……大丈夫』

『間があった』

『気のせいです。とても頼りにしてますよ』

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