瞳の向こうへ
毎日会って話しているわけにもないけどね。

『俺……、今スゲー気になってます!』

これを口に出すことが出来ないのが悔しい。冗談のつもりなのに。

『そうだろ?気になるだろ?』

監督が笑いかけた時学校のチャイムが鳴った。

カラスの集団が山の方向へ向かって勢いよく飛び立っていった。

『残念、練習再開しよう』

三人は帽子をかぶり直してグラウンドに出た。

俺はこれから何するんだっけ……。

『ほら、大好きな先輩のこと想ってるんじゃない!ノックのトップバッターよろしく』

キャッチャーミットをかぶったキャプテンの手話を目の前で見てた監督が明らかに笑いをこらえるのに必死だった。

救いは刈谷先輩以外あまり理解してないことだった。

でも、俺は猛ダッシュでマウンドへ走った。

このいつもと違う鼓動を刻みながら野球小僧ぶりをいかんなく大人のみなさんに見せつけた。

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