身勝手な恋情【完結】
「――お忙しいところ、よく来てくださいました」
自分に呼びかけた人に向かって、彼はやんわりと、物腰柔らかに微笑む。
「まさか、あなたの誘いを断る人間がいますか? 今日だって、どこから話が漏れたのか、あちこちから連れて行ってほしいとせがまれてしまって……!」
「すみません。あまり大事にしたくなくて」
「いや、いや、謝らないでください、こちらから無理を言って、こうやって懇親の場を作ってもらったんですからな! こうやって誰よりも早くあなたの手がけた劇場をみれて、本当に感動ですよ! 何しろあなたは忙しすぎるから――」
「そうですよ、本当に!」
一瞬遠巻きに彼に見惚れていたひとたちも、丁寧に、優しげに返事をする立花氏を見て緊張がほぐれたのか、あっという間に我も我もと彼の周りを取り囲み話しかけ始める。