身勝手な恋情【完結】
彼はウェイターの差し出す銀色のトレーからシャンパングラスを取り、それからほんの少し唇を濡らす。
そうして「ええ」とか「そうですね」とうなずくだけで絵になる。
何をしても彼の周りだけ明らかに空気が違う。
何物にも染まらない圧倒的なオーラに、痺れるような震えを覚える。
ああいうのをカリスマというんだろうか……。
持っていたグラスの中の氷が、カラン、と音を立てて溶ける音がした。
ぼんやりしながらそれをテーブルに置くと、ふと、蓮さんの姿がそこにいないことに気付いた。
そして『彼女』の姿もない。
あ……!
目の前が真っ白になった。